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裸足の季節のSnLのレビュー・感想・評価

裸足の季節(2015年製作の映画)
3.8
「女は貞淑であれ(、よって姉妹はフラフラ出歩いては行けない、サッカーの試合見に行くなんてもってのほか)」
・公的空間からの女の排除=私的空間への閉じ込め

「男性の権力は絶対(、よって妻は夫の求めを拒否することは許されないし、叔父による姪への性的虐待も容認されうる)」
・私的空間での暴力の正当化

塀を高くされ、戸に鍵をかけられ、電話を取り上げられ、少しずつ確実に外との繋がりを断たれていく。最後の光だった窓から家に入ろうとするのを隣人に見られたラーレの無表情は、どんな言葉よりも雄弁に姉妹の絶望を物語る。

他の国の文化的背景が関わる話だけに外から是非をとやかくいうことは難しいんだけど、繰り返し繰り返し指摘されてきた女性の抑圧の構図は、どこの国でも変わらないようだ。
この家庭、特に叔父は少々特殊なんだろうが、そういう特殊な人間が自分のおかしさを隠すために持ち出す隠れ蓑が「文化」「慣習」だったりする。それ持ち出されると外の人間は何も言えないからね。姉妹をこんなに追い詰めて、三女を自殺させた行為が「文化」か、と。

おばあさんたちの頭の中では「姉妹だけでサッカーを観に行く⇒貞淑でない」が論理的に成立してるんだろうけど、姉妹たちにはそこに論理の飛躍があるように見えてるはず。
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