休日に頭を空っぽにして見るには最適な映画。
ワインでも良いが、パスティスがあれば最高。
南仏に心だけは連れていってくれる。束の間とはいえ。
息を潜めて、息が詰まるような、このコロナ禍のなかでは、かけがえのない息抜きになる。
印象派が愛した、原色の果物の上ではじけるような、強く澄んだ陽光に、文字通り心が洗われる。
ジャン・レノもおじいちゃん役をやるようになったのだ。(当時66歳)
しかもアル中の偏屈じいさん。
美しい南欧の自然。
ゆったりと流れる時間。
テオの文字通り天使のような笑顔に、こちらもつられて笑みを浮かべる。
アンズを食べた後に水を飲んでみたくなる。
眉間のシワがゆるみ、ありふれた邦題も許せる。
ありきたりな話。
物足りなく感じるかもしれない。
かといって薄っぺらでもない。
その余白が心地よい。
多くを語らず、ただただゆるやかな時間に身を委ねられる。