あでゆ

ミッション:インポッシブル/フォールアウトのあでゆのレビュー・感想・評価

4.1
盗まれたプルトニウムを用いて、三つの都市を標的にした同時核爆発の計画が進められていることが判明する。核爆発阻止のミッションを下されたイーサン・ハント率いるIMFチームは、犯人の手掛かりが名前だけという困難を強いられる。タイムリミットが刻一刻と迫る中、イーサンの行動に不信感を抱くCIAが放った敏腕エージェントのウォーカーが現れる。

アバンタイトルは過去作含めて最強でしょう。僕は『ローグ・ネイション』のラストがあまりうまくいっていなかったと思っていて、だからこそのこの地味なシーンの連続からの知的演出だったので、脳汁がドバアアッと出てきた。
しかし、『スパイ大作戦』的な演出はここでお別れ。こういう事もできるんだよという目配せに終わり、後はトム・クルーズのアクション映画へバトンタッチという割り切りっぷり。

ただこの映画、実質中国映画にもかかわらず、前作からその主張が薄いのが本当に好感持てる。今回はおそらくトイレでの格闘がそれだったんだけど、前回の『トゥーランドット』のシーンといい、中国が関係するシーンは本当に印象的で素晴らしい。トイレでの格闘といえば『カジノ・ロワイヤル』を思い出すけど、今作のアクションはそれを踏まえても素晴らしいものだった。パイプ使ったりとかアイデアにも飛んでるし、トム・クルーズが老いているという意味付けにもなっている。

加えてHALO降下のシーン、ヘリコプターのシーンと過去作同様、縦の移動が素晴らしいアクションシリーズは他にないだろう。縦移動の統一感で言えば『ゴースト・プロトコル』のほうが洗練されていたけど、今回は圧倒的にその迫力がすごかったんで、アクション的にはシリーズ随一というのは外せない。あとVFXだろうけどヘリコプターが崖の隙間挟まれていくビジュアルなんかは新しいと引き込まれた。

とはいえ色々なところで言われている通り、アクションがそのストーリーとほとんど意味を成さないのは事実。HALO降下もヘリコプター乗り間違えるところも、街のダッシュも意味がない。強いて言えばトイレ格闘くらい。
だからこそ、この映画はこの映画で良いけれど、よく『マッドマックス』と比較されることが多いのには違和感を覚える。

でもストーリー的には嫌いではない。
トムは全体も個人も全て救いたいという願望を常に叶えようとしている。だからこそ仲間を救ってみたりとか、警察救ったりとかしていて、最終的に彼に救われた人物全員が力を合わせて爆弾を解除し、全員が救われるというつながりは美しいと思った。
ただ最後ウォーカーと一騎打ちになったのは『M:I-2』を思い出してイマイチになったりもした。

まあトム・クルーズ、プロデューサーとして数億円払ってアクションを自分でやるという狂いっぷり。いつかこれで死ぬだろうけど、それも本望なのだろう。
あでゆ

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