地下鉄の地下道の、もう誰も行く必要のない奥の方の空間に住み着いてる、ホームレスギャングたちのストーリー。
クリストフ ランベール演じる主人公が、金持ちに取り入って結婚し、裏で遊んでるイザベル アジャーニ演じるすれっからしの女とネンゴロになって、その家からカネを巻き上げようとする。
イザベル アジャーニの下品な金持ち感が、たまらなくカッコいい。
叩き上げの成り上がりじゃなく、玉の輿的に金持ちになった浮ついた、でもしたたかな計算ずくの感じ。
これぞコケティッシュの典型。
みんな育ちが悪く、でも金持ちに媚び諂うのではなく、自由にあがいている。
道徳や倫理観で生きてるんじゃ見えない、ギラついた美しさ。
大金積まれたら誰もが簡単に寝返り、裏でペロッと舌出してそうな、嘘のない身も蓋もなさ感。
私は、拍手を持って底辺からこういう人を送り出したい。俺のことは忘れていいよ、うまくやれよと。
権力と秩序の間隙をぬって逃げ切る自由。
こんなに美しい映画を撮って、徐々に下世話になっていくリュック ベッソンという監督を象徴するような作品。