戦後のフィルム・ノワールと帰還兵士が密接関係にある事を証明するような一本で、ペンフレンド=顔を知らない女性に会いにいくという行為に孕むサスペンスは現代のネット犯罪と何ら変わりないのだが、異常性格が露呈される以前にこいつはヤバいと観客が察知できるような構造になってる気がする。
57分なので展開全フリ脚本は賛否自由だけど、屋敷の狂人譚はサンセット大通り然りいざとなったら力づくで逃げられるのに、空間全てがそいつに支配されてるような感覚に陥って下手に動けない不気味さがある。
何より殺人バリエーションの豊かさよ。リアリティ云々は別として、彼のサディズム演出で普通に拳銃で死ぬ人間なんて殆どいないんじゃないか。