MasaichiYaguchi

真田十勇士のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

真田十勇士(2016年製作の映画)
3.0
今年は、NHK大河ドラマで「真田丸」が放映されたり、この映画の基となった2014年の舞台が再演されたり、小説版や本作とコラボしたゲーム「戦国BASARA 真田幸村伝」が発売されたりと、正に“真田イヤー”という感じだ。
この作品は、武勇伝や軍記物を描いた絵草子や紙芝居のような荒唐無稽さ、痛快さのある戦国アクション物だ。
そのことが本作の長所であり、反面短所でもあるような気がする。
映画は舞台同様に、脚本はマキノノゾミさん、監督は演出を担当した堤幸彦さん、キャストも舞台出演者たち、中村勘九郎さん、松坂桃李さん、加藤雅也さん、高橋光臣さん、村井良太さん、駿河太郎さん、青木健さん、石垣佑麿さんが同じ役を演じている。
本作は、天下分け目の合戦「関ヶ原の戦い」から14年後、世の趨勢が徳川家に傾いていくなかで起こった徳川と豊臣との最後の対決「大阪冬の陣・夏の陣」、この生き残りを懸けた戦いを舞台に真田十勇士の活躍を描く。
この作品の特色は、斬新な視点から天下の名将と謳われた真田幸村を描いたり、その家来で、戦国時代最後のヒーロー「真田十勇士」の夫々の“役割”を描いているところ。
そして「大阪冬の陣・夏の陣」とは一体どのような戦いだったのか、何の為に行われたのかが新しい解釈で紐解かれていく。
本作では、その背景にある“秘密”が最後に明かされるのだが、これに対しては賛否両論出そうな気がする。
映画の中で猿飛佐助が「嘘を突き通せば本当になる」と何度も言っているが、余りにも突飛で腑に落ちない“嘘”は、どんなに突き通しても本当にはならないと思う。
キャストたちの熱演や、スケールの大きなアクションが繰り広げられて、活劇としての時代劇が楽しめるものになっているが、その“嘘”の後味が悪いのと、意図は分かるのだが、エンドロールでの“後日談”は蛇足なような気がして残念だ。