TAKA

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のTAKAのレビュー・感想・評価

4.2
2017-017-011-006
2017.1.29 TC西宮OS Scr.12

・リアルに怖い。現代の戦場
・まるで舞台。会議室の群像劇
・人一人の生命は地球より重いのか

最初は、なんか007な感じのオープニングかなと思ったんだけどf(^_^;(笑)

いや~怖い映画だったなぁ~。
現代の戦場。
凄いリアル。
そして恐らく、間違いなく現実は本作の先を行っている。
ある意味、沈黙サイレンスよりも重く感じる部分もあった。

ボタン一つで敵を殺す戦闘。
自らを危険に晒すことなく。
違和感を感じる人も多いと思う。
俺もそう。
でもこれが現実。
味方の兵士を、出来るならば危険に晒したくない。それは当然の思い。

だけどだからこそ、より強くなる葛藤もある。
目の前の事象に対して色々と考えたりする余裕があるから。

だからアメリカン・スナイパーでは撃った。
撃つことが出来た。
撃たなければ味方が死ぬ。
ただ本作のシチュエーションで非戦闘員を殺めてしまったら、ある意味アメリカン・スナイパー以上の強烈なPTSDに苛まれるのだろうな。
プロとしては弱かったし。

そのような弱さを許すシチュエーション。
本作の主舞台の一つ、閣僚の会議室。
いやぁ~、ここがこういう雰囲気で描かれるところが、イギリス映画っぽい(^_^)
シニカルで小洒落ていて、まるで舞台劇を観ているよう。

いくつかご指摘されてるレビューがあったけれど、確かにシン・ゴジラを彷彿させるシーンですね(^_^)

やはりそこにはリアルを感じる。
そして文民統制下ではそうあらねばならないのだろうと思う。
緊迫した、スピード感のある現地のシーンとの対比が独特のテンポと緊張感を産み出してる。それが心地好い。

しかしドラマはあくまでシリアス。
怖く苦しい。

多くの人を救うために、非情な決断を下そうとするパウエル大佐(ヘレン・ミレン)。
対照的にヒューマニズムを強調する女性議員。彼女は多くの戦闘員を危険に晒すことになっても、少女を守ることを優先すべきだと言う。
立派なヒューマニズムだね。

だけど、人の生命に貴賤があるのかな。
それは自分に酔ったセンチメンタルじゃないのかね?

とは言っても、いたいけな少女を犠牲にしてしまうのを目の当たりにするのは、それは胸が痛むよね。
それは自然な感情(^_^)

ボタンを押すのを逡巡したオペレーターも極めて自然でマトモ。
でも彼は自分の職責を分かっていて、だからこそ納得するために出来る限りのことをして自分に折り合いを付けようとした。立派だった。

だからこそ一層、パウエル大佐の信念は凄い。
やり過ぎ感なくはないけれどf(^_^;
彼女みたいに出来るかな。自分の信念を信じて。
正直自信はないな。
だけど、テロリズムとの戦いがメインになるこれからの戦いでは、こうした場面が増えるのだろう。

色々と予見してるというか、
現実を教えてくれる作品でした。
しかもドキドキ出来て面白い!
オススメ!です(^_^)

追記。
・ヘレン・ミレンってこういう役もやるのねぇ~。そんなに詳しい訳じゃないんだけど。イメージは、黄金のアデーレとREDだったんで、なんか新鮮で良かった(^_^)
・あのエージェント、無事に生きて帰れたのかなぁ・・・
・リアルな作品だったんだけど、一点だけ気になった。ボタン押す人は、もっとベテランを選ぶのだろうな普通は。多分f(^_^;
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