がみおー

君の名は。のがみおーのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
3.7
各所で盛り上がりを見せているので半分嫌々ながらも知識のためと鑑賞。

こんな事を言うと全方位から「は?」という反応で殴られるかもしれないが、私を含めキショイ童貞オタクにとって、恋愛というのは何も珍しいものではないのである。
何故か。言わずもがな、恋愛要素のある媒体に囲まれているからである。深夜アニメ、ラノベ、ギャルゲー…アダルト向けでなくとも「行為」を示唆する描写、モノによってはガッツリ描写してるものもある。また、一般向けのものですら恋愛要素というのは欠かせない。
つまり今まで恋愛というものを要素として散りばめられてきた作品を目にし、手に取り、享受してきた我々にとって、わざわざ今更恋愛を中心に置いた映画を観たところで何も目新しい感情は生まれないのである。
であるが故に、我々はこのような作品を敬遠しようとしてしまう。


しかしこの「君の名は。」はそうではなかった。予告の時点で予想が付くが、どこの誰かも分からない相手といきなり入れ替わって、住んでる場所も違うし、直接コミュニケーションも取れない事からじゃあ会ってお茶でも…という訳にもいかないのである。双方共に学生である為時間的にも金銭的にもそのような突発的な行動は不可能である。(本編が進むに連れてそういう訳でもなくなってくるが、これは物語序盤の時点での話)
そのため、入れ替わる事によって第二人称どころか第一人称によってお互いの事を知り、理解していく。直接的な恋愛描写は無くとも、お互いに人間として惹かれ合っていく。単純に同じクラスの人が気になっているとかそういう次元を超えた繋がりを経て、その終着点として異性間における恋愛感情が描写されている。しかも割とあっさり。
これによってこの作品は恋愛映画ではないと断言出来る。これならば「はー、カップルがデートの締めのセックスの出汁にする為の恋愛モノだろー?」なんて斜に構えているオタクも充分物語に入り込む事が出来るのである。
また、その物語の本筋が大胆な脚本になっている為、エンターテイメントとしても歯ごたえのあるものに仕上がっている。単純な学生同士の恋愛模様にはない、壮大なストーリーが込められている。また、映像表現及び全編通しての作画に関してはそれこそオタクこそ一見の価値ありであろう。

ただ、この作品も部屋のラノベの本棚に新しいラノベが入った、ぐらいのものである。随時挟まれる楽曲も些か動画サイトに違法アップロードされているMAD動画感が拭えず、一次創作としては如何なものか。いや、自分が二次創作に毒され過ぎているというのもあるのだろうが。そういった点では予想の範疇を超えられなかったが、確かにいい作品であるのは間違いない。ちなみにメインキャストは芸能人によるアフレコであるが、違和感は何も感じられない。特に神木隆之介くん。素晴らしい声の演技でした。



個人的には、主人公の三葉ちゃんが終始可愛くて、なるほど、やはり我々日本人の男どもはこういった素朴な女子高生の仕草や言動、生活感にこれ程までに性的な興奮を覚えてしまうのか。やはり日本人男性はロリコンである。お偉いフェミニスト様方の言う通りでございます。
「可愛い女の子と身体が入れ替わったら」なんて妄想してしまうのは男の性であるが、そういった妄想周りにある我々の欲望をしっかりと満たしてくれる(満点ではないが!)描写もあるのできっしょいオタクもニヤニヤ出来るはず。

ともあれ、エンタメ作品としても楽しめるし、シンゴジラとはまた違う層が盛り上がるだろうが、そういった人たちと関わる機会があるのであれば話の種には持ってこいではないだろうか。無理に映画館で見る必要もないが、しっかりとストーリーが組まれている為、ネタバレを目にする前に見ておくのが得策であろう。