このレビューはネタバレを含みます
「わかりやすさ」はマイナーをメジャーにするということを端的に証明した作品。
元来の良さを残しつつも非常にポップなエンターテイメントとして仕上がっている本作のテーマは、人と人との繋がり。
新海作品ではコミュニケーション不全とその克服という主題が繰り返されてきたのだけれど、それをリアリズムの中で描くと創り手と観客の意思疎通も細かい部分でうまくいっていなかったように思う。
ファンタジー的な要素、民俗的な要素を取り入れて、作品の中で嘘が占める比率をあげたことが逆に主題を分かりやすくするというのは、実に不思議な皮肉ではないか。
「次回作は3年以内に」という新海だが、果たしてここがピークにならないで済むかどうか。楽しみにしたい。