kana

何者のkanaのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
4.0
おもしろかった!原作未読だしとくに前情報も仕入れず安易な気持ちで観てましたが、なにこれ想像以上におもしろい笑

まず予告をみて、なにこの豪華なキャスト!と思い、完全にキャスト(8割方健くん)目当てで観にいきました笑
でも予告には完全に裏切られましたね、いい意味で。爽やかな青春ムービー感もあるし、恋愛色も強めなのかなーと思いきや、ぜんぜんちがうわ、やられたわーと笑
なので予告のかんじを期待して観る方は要注意です笑 あの予告はなかなかの詐欺ですね。

後半のあの拓人と理香のやり取りからゾワゾワ…BGMもいい感じに緊迫感を高めてくれます。からの隆良のひとことでいっきに鳥肌たちました。ホラー映画じゃないのにほんとに怖い〜。とともに今までの伏線がいっきに回収された気がしてすっきり。不思議な感覚。
あの検索履歴でバレる2人の心の奥底にある黒い感情。気持ち悪いくらいリアルです。

そこからの拓人の裏アカツイートを遡っていくシーンはほんとにテンポよくて面白かった!音楽とかちょっと脚色強すぎるんじゃない?と思う人もいるみたいですが、このくらいのほうが舞台色がつよくてとても楽しめました。
この拓人のツイートが本編では原作より少し毒が強くなってるんですがそれがあの音楽と
相まってかなりホラー感がでていてなかなかおもしろいです。

そしてその恐ろしい舞台をいちばんみられたくないはずの人に観られている。
そんな状況から思わず逃げ出すけれど、彼女は迷いのない目で、自分のカッコ悪い部分を肯定してくれる。
拓人の心の黒い部分は少なからず晴れたのではないでしょうか。
このシーンは原作にはないんですが、あることで映画ならではの後味の悪いモヤモヤが少し軽くなっている気がします。原作の解釈の仕方で余計だと感じる人もいるかもしれませんが、私はいいシーンだったのでは、と思います。

ラストの面接のシーンは、映画鑑賞後に読んだ原作でかなり好きなシーンだったので、これは原作派なんですが、映画の方は今まで謎に包まれてきたギンジの説明のように感じました。映画ではギンジがかなりのキーパーソンになっていたのでこれはこれでアリかなと思いました。
扉を開けたと同時に流れる主題歌がとってもいい!

もやもやエンドだと感じる方もいるみたいですが私はいいおわり方だったと思いました。

ほんとに豪華なキャストの面々でしたが、山田孝之さんのサワ先輩がすごくいい!圧倒的な存在感、そして安心感。サワ先輩の言葉は、拓人に感情移入してしまっている私にもかなりぐさりときました笑

菅田くんのバンドシーンがすごくいい!めちゃくちゃかっこいい!こんなにも光太郎にぴったりな人っていないんじゃなかろうかと。人の心をつかむのが抜群にうまい。さすがです。

健くんはほんとに演技が上手い。あの何か言いたげな目がすごい。セリフが多い訳じゃないのに、表情ですごい演技をするから、やっぱり絶対難しい役どころの拓人は彼にしかできないんだと思います。
あんなにいい男なのに、劇中だとダサいしカッコ悪いし見ていてイタい。タバコの吸い方ですらすごくダサくみえて、この人凄すぎると鳥肌でした。
前作の「世界から猫が消えたなら」のほうが人としてはかなり好きなんですが、俳優としては完全に今作のほうがハマリ役だったと思います。

全体を通してかなりおもしろい作品。毒もたっぷり。キャスティングもいいから画にも飽きない。人によってかなり評価がちがうのでやたらめったらオススメはできませんが私はかなり面白かったです。

原作未読で観るのをおすすめします。もちろん観たあとは原作を読んでください笑
細かい心情や描写は小説ならではなので笑
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