柏エシディシ

何者の柏エシディシのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
4.0
きたわ、これ。
テーマは全く別モンですが、「ブルーバレンタイン」級にヒトの心の急所をえぐり込むように打ってくる劇薬トラウマ映画。
体裁の良いイマドキの売れ線邦画の様なルックに騙されちゃアカン!取り扱い注意!

「就職戦線異常なし」的な青春群像劇かと思ってスルーするつもりだったのですが、いい意味で裏切られました。

就職活動という大筋はあるものの、現代社会におけるSNSによるコミュニケートや、延いては普遍的な人間関係の物語になってると思います。

もちろん「青春が終わり、人生がはじまる」というコピー通り1人の青年の青春譚でもあるのですが、三浦大輔監督の色合いが多分に込められた「演劇」というファクターが絡まる事によって、幅広い年代にも刺さる「人生賛歌」にもなってるかと。
就職活動なんぞ遠い昔の記憶となってるオヂサンの心もエグってくるぐらいですから。

まぁ、それもこれも、「あ、こんなヤツ知ってる」とか「やめてくれ、もうこれ以上「俺」を見せないでくれ!」と登場人物に説得力と実在感を持たせてくれたキャスト陣の見事なお仕事。

「そこのみにて」のタクジで菅田将暉くんにヤラレた者としては同型キャラのコータローは堪りませんね。タクシーのシーンとか、電話で元カノと話す時に男っぽくなるトコとか。もーねー、たまりませんねー。

あと、二階堂ふみさん。クライマックスの怖さったらないwそこからの、アレ。「立ってらんない」は一生忘れられない台詞だと思う。リカちゃんの今後が心配w

有村架純さんはもちろんヒロインらしい造型でもちろん有村架純ですから飛び切りの美人なんですけど、新歓の時の「わ、イモっぽい、、」と思わせてしまう感じ、本音を吐露するシーン。色んな表情が見られます。

佐藤健くん岡田将生くんも、一歩間違えれば、イヤなキャラ(いや、一歩間違えなくても、か?)なだけで終わってしまう所、ギリギリ観客の共感を引き出す事が出来る難しい仕事を成し遂げてると思います。

さて、さんざんヒトの心をズタズタにしてくれた後のラストシーン。
主人公のタクトの背中を押す様に送り出すカメラワーク。
それはまるで「それでも、前に進むしか、ねぇよ?」という観客へ向けたエールにも思えてきて。
そこで流れてくる中田ヤスタカのテーマ曲。
ピアノのリフレイン。ヴォーコーダーで刻まれたコーラス。心の揺らぎがアップダウンするリリック。ヤラレました。

痛過ぎて、もう一度観るかは判りませんがw、2016年忘れられない映画のひとつである事は間違いありません。