あでゆ

何者のあでゆのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
4.2
就職活動の情報交換のため集まった大学生の拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。海外ボランティアの経験や業界の人脈などさまざまな手段を用いて、就活に臨んでいた。自分が何者かを模索する彼らはそれぞれの思いや悩みをSNSで発信するが、いつしか互いに嫌悪感や苛立ちを覚えるようになる。そしてついに内定を決めた人物が出てくると、抑えられていた嫉妬や本音が噴きだす。

正直見始めはすごく退屈な映画だなって思ってたんですよ。キャラクターもあまりにもムカつく奴らだし、なにをやっているのかわからないし、就活ってこんなファンタジーなのかよとも思ったし。
だって知らん男家に上げて「就活対策本部にしよう!」ってありえないじゃないですか。そしてその女は3週間の彼氏と同棲してる。

でもなんとなく会話の節々から漂う気まずさみたいなものがあったり、いなくなったら悪口言ったりするのはすごく朝井リョウ原作ぽいなとも感じた。だからそれなりに見れてて、と思っていたらそこからの後半の畳み掛けがドーンと来るというカタルシスが最高の映画。

「就活二年目だもんな」からの演劇化された過去の振り返りみたいなものが次々と駆け抜けるシーンは鳥肌が立った。演出がライバルが実際にやってた舞台と似てるのも面白かったり。
就活にリアルはなかったけど、彼らがやってるTwitterの悪口だったり、レッテル貼りみたいなものにも心当たりありすぎて、最後までモヤモヤ~っと苦さが広がる感じが最高だった。
そしてラストにはちゃんと救いもある。

就活のリアルのなさはある意味演劇的でもあるんだよな。抽象化されているというか。

理香と隆良の二人はすごくムカついたけど、ラストのカタルシス手前で隆良が心入れ替えて一抜けしてる感じも本当に性格悪いなこの映画!(褒め言葉)っていう思いがした。
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