Couperin

何者のCouperinのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
4.9
就活が主題にはなっているものの、コアは現代の対人関係の凹凸を問うような、凄く考えさせられる怪物的な邦画でした。


…そういえばtwitterで見たんだけど。から始まる捻じ曲がった会話や、感情に火がつけば止めどなく溢れる言葉を瞬間で送信できるLINE。

『低点でもいいから点数だしてみなよ、100点になるまで自分の中で煮詰めたって誰も貴方が求める反応なんてしないんだから。』放たれた言葉は鈍器で殴られたような重さで突き刺さる。


【頑張る頑張るって誰のために?何のために?就活生は本質を逃して大きな波に飲まれている】

そう。儀式のなかで審査という大きな目的を通り越してしまった私達はラベルを貼られて春を迎えるもんだから、こうやって少しずつおかしくなっていくのも強ち間違っていない。
もうこうやって採用される事自体も変化するだろうけど、本当の就活の怖さを知っておいてもいいなと思う。


ツールが充実してコンテンツが溢れる今、140字で他人を評価する事がナンセンスだ、と俯瞰できるか。心の深い繊細な部分までは知り得なくて、ここから先が情緒であり人間にしか生み出せない価値だと気付き貫けるか。
その観点だと、劇団員が一人一人演劇について語るシーンはすごく生身でグッときた。


人間だからさ、できれば人間らしくドラマチックに生きたいよね。
Couperin

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