のふのふ

ホームレス ニューヨークと寝た男ののふのふのレビュー・感想・評価

4.2
〝どこかで道を間違えた〟

公衆トイレから出てきた、スーツをバシッと身に纏ったロマンスグレーのイケメンオジサマ。実はこの男ホームレス!

ニューヨークで家を持たずに生活しているファッションフォトグラファーの男性マーク・レイに密着したドキュメンタリー。モデルや俳優としても活動する52歳のマーク・レイは、ハンサムでチャーミングなルックスにブランド物の高級スーツを着こなし、一見すれば誰もがうらやむ華やかな「勝ち組」だが、実はすでに6年間、家のない生活を続けている。厳しい競争にさらされる現代社会を生き抜く上で、レイは家族も恋人も持たず、ホームレスとして生活するライフスタイルを編み出していた...






昔YouTubeで観た予告がおもしろそうでやっと鑑賞!
予告の軽快さから、
自由を突き詰めたファッショナブルな男を描いたものかと思いきや...
予想外に哀愁漂うドキュメンタリーでした



最初のほうは自由奔放な主人公が軽快なタッチで描かれます!
公衆便所で髭剃ってスーツをバシッと決めて出て行く姿は正直かっこいい!笑
街中では道行く美女に片っ端から声をかけ写真を撮る。
サラッと無賃乗車は笑った!

そして
美しいニューヨークの情景、
クリントイーストウッドの息子さんカイルイーストウッドの書き下ろしジャズも画面のお洒落さに拍車をかけます



しかし、
寝泊まりしているアパートメントの屋上を案内されてからはマークの華やかに見えた姿も一変。


何かこだわりのポリシーがあってこういった生活をしているのかと思いきや、
これは彼が望んだ生活ではなかった。
ユーモアで着飾った男の不意に垣間見える本音に胸が痛くなる


高身長イケメン
社交性あり
ユーモアあり
大学も出て順調にキャリアを積んでいくはずだった人生。
でも気づけばモデル、俳優、フォトグラファーも全て中途半端....
「どこで道に迷ったのかな」



ニューヨークの街に溶け込む、ユーモアで着飾った表の姿はお洒落で魅力的です。

しかし、夜になると理想とは程遠い本当の自分を隠すようにアパートメントの真っ暗な屋上へと消えていく...


そして、劇中で出て来るマークの友人も親友と言うよりは顔見知りや仕事仲間ばかり。
帰る〝家〟もないという孤独感...



オープニングと同じ花火の映像が流れるエンディング。
華やかな花火の光に照らされた暗闇の中の彼の姿は最初と180度違って見えました

エンドクレジット中盤にあるマークレイと監督のやりとりは思わずウルっときてしまった



自分の思い描く最高の人生を歩もうと、
一人好き勝手に生きている。
でもふとした時に理想とは程遠い自分に絶望する



人によって心に響くかは別れるドキュメンタリーだとは思いますが、
個人的にはかなりグッとくる愛おしい作品になりました。

原題はhomelessではなく〝homme less〟。


オススメです

ウッキウキで「メンインブラック3」に端役で出てると言っていたので探してみます!笑
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