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すけべてんこもりのeigajikouのレビュー・感想・評価

すけべてんこもり(1995年製作の映画)
4.0
『End of The World』
「世直しじゃー!! ーこんな時代に瀬々敬久特集ー」にて。
瀬々敬久監督と川瀬陽太さんのリモートトーク付き(劇場でのトークだったからトーク後ロビーに出て来てくれました)
かなり勢いのある作品でした。
若い川瀬陽太さんは痩せてて刹那的でアブなそうな青年を好演。今回は島の真面目な警官役を演じている伊藤猛さんと好対照で二人のキャラクターが際立っています。
三宅島の廃墟のシーンは最近見た蔡明亮監督VR映画『蘭若寺の住人』思い出しました。先週同じケイズシネマ で見た黒沢清監督『ドレミファ娘の血は騒ぐ』も。
4、5日で撮影したそうです。「一緒に行ったピー子は帰りにはいなくてかわいそうなことをしました」(文字通り火の鳥になってしまった…)
島から帰って来て冒頭シーンを撮影したそうです。
監督は以前から三宅島での撮影をしたくて実現したのが本作。監督は三宅島のルポでNLP基地建設計画反対運動に来た若者達が暑さにやられているところ島民の人達が水を飲ませてあげている描写が印象的でいつか三宅島で撮影したいと思ったそうです。亀井淳著『ドキュメント三宅島』かな?
川瀬陽太さんの商業映画デビュー作品。
福間健二監督の紹介で初めて会った時はロッカーみたいなジャンパー着てたと瀬々監督。初めからカラミが自然で上手くて良いセックスをしているのだなあと思ったそう。
川瀬陽太さんはピンク映画に出るのなんて無理だと思ってたけど国映の社長にカラミだけは上手いなと褒められたそうです。
三宅島では背中の皮が3回くらい剥けてしまったとのこと。
じゃりじゃりした砂の上でのシーンを向かいの山の上から撮影していて側に転がっているトランシーバーから指示されたけど何が良かったのかなんだか分からなかったそうです。
「俺、シュッとしてたな」と言われてました。映画で何か変えられるとは思ってはいないけどまだ映画で何かできると思っていると。最近ツイートされてた「某組撮影、ワシ分アップさせてロケ先を散歩、国道沿いの和風ファミレスへ。斜向かいのボックス席に数人の職人らしき客が。何処ぞの女を抱いたとかあそこは安いだとか酷い話をしていた。おっさん達の間に挟まってる東南アジア系の青年、ひと言も口を挟まずずっと前を向いてた。本当に、本当にごめん。」(←川瀬陽太さんのツイート)このエピソードを話されこんなことは変えていきたいと言われた。
川瀬さん主演高橋ヨシキ監督『激怒』はポスプロ中で今年の公開予定だったが劇場の予定が詰まっているから来年になるかもだそうです。
川瀬さんに瀬々監督の5月公開『明日の食卓』の3人の女優さんたち素晴らしいですね、と言われて(菅野美穂、高畑充希、尾野真千子)菅野野さんをド忘れして失笑してみえました。
特集の作品説明より↓
「逃亡中の若い男女。女が里子に出した息子を取り返そうと島にやってくるが…。火山噴火前の三宅島でロケを敢行。溶岩で埋もれた大地が宇宙のごとき異世界。瀬々作品常連の川瀬陽太はこれで初出演。ラスト、キャメラに向かって問いかける川瀬の突き抜けた存在感が見事。」
アテネフランセの作品説明より↓
「里子に出した息子を取り返すために島へやって来た逃亡中の男女。子供の奪回から拉致事件へと発展する物語は、サスペンスフルな逃亡劇から観念的世界へと向かう。「俺は何のために生きているんだ」とカメラに問うラストシーンの向こう側にある「はじまり」は……。」
自分が娘を産んだ1995年、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件などあった年の作品で時の流れを思うと感慨深いです。
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