これも良かった。是枝監督作品らしい映画
売れない小説家の良多が母親の元で別れた妻と子供と過ごす一夜を描いた映画。
キャスティング的にもストーリー的にも「歩いても歩いても」とよく似ているが、その違いを探ると非常に面白い。
妻の立ち位置、帰省先の環境、主人公の性格、これの違いが人間関係にも影響を及ぼしている。
そして、この映画の主人公良多は典型的なダメ人間。元妻には未練タラタラだし、探偵業で働く傍ら高校生を脅して金をとるし、ギャンブルまみれやし。
まぁ失った関係の価値に気づき、月に1度子供と会う日を必死に待ちわびている様子を見るとまだマシな人だったのかなと思う。ちょっと遅すぎたんだけど。
そして元妻目線で見れば別れた夫の母の家に泊まるなんて、かなりいやすぎるシチュエーション。元夫をこっそり睨みつけるシーンがめちゃくちゃリアルで印象に残る。1度断ち切った関係は決して戻せないと覚悟している元妻は強い。
この映画をみて真木よう子が好きになった。
そしてやはり樹木希林。彼女の言葉は台本通りなのかアドリブでの彼女自身の言葉なのか分からないほど、自然で重みがある。
様子を伺いながら息子たちの関係が修復しないか探りながらももうダメなんだと涙を流すシーンは切ない。
是枝監督らしく最後に明確に答えが明示されている訳では無いけれど何故かちゃんと晴れやかな気持ちになる。団地暮らしは絵になるなと思った。熟練したキャストによって安定して見られる良い映画。