「花も実も付かないんだけどねぇ。あんただと思って毎日水やってんのよ」
ダメな中年親父のやるせない日常を、ほんのりユーモアを交えながらあたたかく描いたヒューマンドラマ。色川武夫の短編みたいな味わいがある。
本作の魅力は脚本と役者。特に大きな事件が起こる訳でもないけど、含蓄のある台詞廻しと芝居によって何気ない生活シーンが良い感じに仕上がっている。以下はお気に入りのセリフ(島田紳助賞は是枝監督が思い付きそうにないのでアドリブ？)。
「もう諦めたら？ 15年でしょ。あのー、島田紳助賞貰って」
「本当にそう。こんなはずじゃなかった」
一方で、今作は脚本と演者に頼り過ぎており、画作りが凡庸で映像としての面白味がほとんどない。この点は明確に映画としてマイナスな部分であり、だからこそ話としては好きだが評点を4以上にしていない。
人生ままならなくても日常は続いていくんだ、と少しほっこりする家族の物語としておススメ。
