是枝監督の作品では一番好きかもしれない。テーマを頑張って拡張せず、等身大。露悪的なキャラがいない。なんならちょっぴりみんな嫌な部分もあって、それくらいが温度としてちょうどいい。
小澤征悦さんの台詞「小説買って読んだよ。Amazonで」わざわざ倒置法まで使ってAmazonを強調するちっちゃな悪意描写。Amazonで買うのは普通のことなのでかっこつけにもなってないですよ。狙ってたとしたらキャラ造形が、天然だとしたら脚本自体が、どっちにしろチャーミングで好きです。要は全体的にいい意味でその程度なんです。
みんなそうだと思いますが、最高なのは阿部寛さん樹木希林さんが看取り方について会話する長回し。
「海より深く愛した人なんて、普通の人にはいないのよ。いや、いないから生きていけんのよ、こんな毎日を。それでも楽しくね。」
やっぱ、何を言うかじゃなくて誰が言うかだな。樹木希林さんすげーや。邪道なので普段は封印してますが、巻き戻して上記セリフをメモって再生ボタンを押したところー
「あ、私いいこと言ったわね。
メモしなさいよメモ。」
だってさ。やられましたー。樹木希林お母さんにはなんでもお見通し、という究極の追体験。なんか悔しいからアドリブであってくれ。
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・"アレ"というワードをいかに言うかの、自然体選手権もやってましたね。結局、樹木希林さんが優勝なんですけど。要は観客に"アレ"を気づかせなかったら勝ちだと思います。
・あの興信所のスピンオフ観たい。無理なら、阿部寛さんと池松壮亮さん2人だけでもお願い!そのくらい池松さんが本当に良かった。