TakahiroFukuya

ある戦争のTakahiroFukuyaのレビュー・感想・評価

ある戦争(2015年製作の映画)
4.4
デンマーク映画「偽りなき者」の脚本のトビアス・リンホルムの監督・脚本作品。

戦争映画はコメディやプロパガンダでない限り普遍的テーマとして「反戦」がある。
この映画は「アメリカン・スナイパー」や邦画でいう「野火」とは全く違ったアプローチで「反戦」を描いている。


アフガニスタン戦争に平和維持活動で駐留するデンマーク軍の隊長が民間人を誤爆し、国内で裁判にかけられる話。

状況は違えど現在上映中の「ハドソン川の奇跡」同様で隊長は空爆を命令するのだが、そのとき、その状況では最善を尽くした結果そうなった。

本国に送還後、裁判にかけられるれ無罪にはなるのだが「ハドソン川の奇跡」のような感動は全く得られない。

やはり戦争は人が死に、当事者もその周りの不幸にするからなのか。


「偽りなき者」同様重く苦しむ人間の繊細な精神と、今作ではデンマーク人もアフガニスタン人も国、宗教、人種は違えどその家族の本質は変わらないと表現しているところが苦しさを増長させる。

偽りなきものと重く苦しい人間の話で話としては完結しても観る人に投げかける終わり方は観る人を選ぶかもしれないけど、僕はこの監督の次回作も必ず観ると思う。
TakahiroFukuya

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