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押入れ/味見したい人妻たちのyのレビュー・感想・評価

4.4
「味見したい人妻たち」改め「押入れ」は、城定秀夫監督の処女作である。で、ありながら、この頃から城定秀夫イズムは完成されかけているように思える。このレベルはロマンポルノにもそうそうないのでは?

知らされていない急な出張、話は聞いていないし家事は手伝ってくれない、朝食を残されて、行ってきますの見送りもさせてもらえない人妻の、愛されていない女の描き方が卒がない。直接描かれないが、絶対に浮気をされているであろうことを一筋の涙で示す。
教え子にヤられながらも、余裕があって大人な「人妻」を装うとする仕草を、台詞の練習やあらゆるシーンで可愛く健気に描く。セックスシーンからの、トーストに蜂蜜を塗りたくる朝食へのジャンプ(アンサーショット含め)を初め、思い切りの良いジャンプショットが作品の非凡なリズムを作っていてすげえ。アイロンのシーンも、酔っぱらった2人の滑稽な会話とのアンバランスさが尋常ならぬ恐怖を演出している。本音をモノローグで済まさずサイレント演出にしているのもダサくなりそうなものだが、作品の雰囲気とマッチしていて案外良いし、青年の「女王様、、」のくだりも最高が過ぎる。ピンク映画をただのエロで済まさない手腕に本当に感服します。
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