イチロヲ

ピンクのカーテン3のイチロヲのレビュー・感想・評価

ピンクのカーテン3(1983年製作の映画)
4.0
美容室の経営者(望月太郎)と不倫関係を築いている娘(美保純)が、恋愛下手な兄(阿部雅彦)に同調していく。情欲を抑圧させている兄妹の葛藤劇を綴っている、日活ロマンポルノ。ジョージ秋山の同名コミックを原作に取っている。

これまでのシリーズと同じ出演者だが、まったく独立した作品。兄妹は同居しているものの、別行動により、日常生活ではすれ違っているという設定。兄が妹のことを一方的に好いているような描き方はしていない。

兄妹が相思相愛を胸のうちに秘めながら、別々に恋愛劇を繰り広げる。そして、恋愛の悲喜を経験することにより、心の隙間を兄妹で埋め合うようになる。妹の物語は影が薄く、兄の物語に訴求力がある。

とりわけ、兄とトルコ嬢(萩尾なおみ)による心の交流が見応え満点であり、互いが「誰かしらの代替」になっていることを推し量ることが可能。全体的にダウナーな雰囲気が強いけれども、シリーズ最終作にふさわしい出来栄えになっている。
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