白波

映画 聲の形の白波のレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
4.0
2016年10月劇場鑑賞
最初に読み切りがマガジンに掲載され、反響が大きくその後連載漫画になったこの作品。
原作を好きだった事もあり、ちゃんと物語がおさまるのか少し不安な心持ちで劇場に向かいました。
始まってすぐOPがあるのですが、何と「My Generation」を持ってきたのには面食らいました。
しかしこの歌、無自覚で無軌道な子供達と実にマッチするんですね。ちょっと驚きました。
また、よく考えたら監督は「けいおん」内でもフーのネタを出していたのを思い出し、なんだか妙に納得してしまいました。
この作品は障がいといじめという少しデリケートなものをベースに、人と人との繋がりを描いた物語。
映画でもその描写は良く表現されていて、京アニならではのやわらかな作画や背景も心地よかったです。
そして音楽が実に良かった。全般的にとても穏やかできれいな音なのですが、彼らがそれぞれ抱えている心の奥にある鉛のような部分も表現されていて、とても素晴らしかったです。
作中のいじめに対し各キャラクターそれぞれの関わり方をしているので、見ていてどこか物語とは思えないチクリとした気持ちになる方もいるのではないでしょうか。
二時間ちょっとの尺ですがきちんと原作をなぞっており、無くすところはスパッと切るのですがその切り方がうまいのでしょう、観ていてストレスを感じませんでした。
それでいてペドロやマリアは出るけど、姉が顔を出さなかったりする設定はそのままだったり、随所にこだわりが見えます。
そしてラストなどのオリジナル部分への繋がりも良かったですね。
淡い気持ちと尖った空気、少年達が抱えるものが丁寧に描かれており、原作好きが見てもとても良い作品に仕上がっています。
そして、帰ってからふと目にした入場特典の書き下ろし漫画。
ストンと落ちたようで、読んでいて涙が出てきました。
短いながらもとても素晴らしい内容なので、映画と合わせて読む事を是非お勧めします。
心に響く、とても素敵な作品でした。
白波

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