Lewis

映画 聲の形のLewisのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
3.9
聴力障害を切り口に、思春期のコミュニケーションの危うさと、自己肯定の未熟さを表したアニメ映画。
絵が綺麗で可愛くて瑞々しかった。音楽もとってもセンスが良かった。

内容はというと、終始ズキズキ。大人が観ても、過ぎた青い頃を思い出して共感して子供のコミュニティって大変だったんだなって思い返す。あの頃の逃げ切れない狭い世界。

必死に自分を探して、友達を鏡にして、そこに映った自分のかけらを受け入れられなくて、否定して。もがいて消えてしまいたいと思って。すぐに柵を飛び越えようとする危うさ。アニメだから成り立つこのポップさ。

主人公二人がどちらも母子家庭。これが、二人親家庭だったら、家でもっと荒れるんだろうな。そうなると友達関係に焦点が当たらなくなってテーマがブレるからこの設定なんだろうか。それとも二人の共通点を増やすためか。単に世の中の流れを汲んだのか。しょうこの母親のあの無表情からの、たまにみせる激情が物語に重みを持たせてたよな。きっと支えてくれてたおばあちゃんの葬儀の嗚咽とか、しょうやの母への土下座とか、うえのとの喧嘩とか。母同士が戦友のように触れ合ってる姿とか。母の必死さも間にみせていた。思春期はたたかいだと思った。

表情と感情が繊細な力作アニメーションでした。
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