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映画 聲の形のyunのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
4.8
正直、号泣するほどの感動作品は腐るほど観てきたが最初から最後までティッシュが手離せなせず声を出して泣いたのは初めて。
きっと自分と重なり過ぎていて苦しかったからで何気無しに再生したけれどこんなに刺さるとは思わなかった。


日本のアニメ映画に対して自分はとても否定的に考えていたが、もっともっと早く、この作品に出逢えていたら考え方が変わっていたはずで、後悔した。
しかし金ローで初めてこの作品に触れてみて、観る機会を与えてくれたことに感謝しているし何より京都アニメーションの方々の素晴らしさを実感した。


障がい者とか、見た目の善し悪しだとか、スクールカーストとか、見栄とか差別同調とか思春期とか、少年少女って大人が思ってるよりも何倍も何千倍も複雑で、小さなコミュニティの中で生きることの難しさを痛感した。
あの時感じた想いは大人になってからでは思い出せない。その気持ちを呼び戻してくれた気がした。


イジメや差別なんてもうホントにくだらないことで、でも相手の苦しさには気付けなくて。
主人公のように、後から悔いる人間もいれば、相手を傷付ける行為に違和感を感じずに忘れ、堂々と生きていく人間もいる。

主人公は「自分がしたことは自分に返ってくる」を経験した人間だが、実際はそんなケースなかなか無くて
意識無に誰かを傷付けたこと、などすっかり忘れて生きていく自分勝手な奴らばかりの世界で、この作品はそんなクソみてぇな環境で生きる自分に温かい心を与えてくれた。


僕は多感な時期の数年間をイジメを受けて過ごしてしまったけれど、
主人公のように助けてくれる人や心から通じ合える友達が出来たことが羨ましくて、
それでいてしょうこのように優しい人間にはなれなかった自分が憎くて、色んな感情が押し寄せてきた。

なぜあんなに酷い仕打ちを受けたしょうこがメロメロに好きだったのかはよく分からないが自分を信頼して愛してくれる人間がいることは凄く尊いものだと思う。
お互いの母親のやり取りも本当に苦しく、美しくも感じる愛のあるストーリーだった。


終始心臓をグッと掴まれ続ける。
凄く汚くて、でも清くて、尊い人間模様。

大切な作品になりました。
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