紀子

ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘いの紀子のレビュー・感想・評価

2.5
世界は『アベンジャーズ』のように単純じゃない。
ヒロイズム過剰で違和感があった。
こんな単純な二項対立で、分かりやすい善と悪で、世界は成立しているのか?
もちろん、いま起きているプーチン政権による侵攻は最悪な行いであり、今すぐやめるべきだし、マイダン革命で行われた残虐な行為も許されることではない。
ベルクトやチフスキーが残忍な集団だったのは事実だろう。
でも、マイダン革命に極右組織が参加していたことを微塵も描かないこのドキュメンタリーはフェアじゃないんじゃない?と個人的には感じた。
アメリカが関与、もしくは援助していたという噂もあるけれど。
あとこのあと、汚職でつかまってたティモシェンコが釈放されてたり。
世界はきっとこの作品よりも、もっともっと複雑。
プーチン政権は誤情報やプロパガンダを撒き散らしているけれど、ウクライナの、欧米の報道もバイアスかかってないと言い切れるのだろうか、というか、何かを叙述するときに、話者のバイアスがかからないことなんてないのだし。同情から何かに対して盲目になるのは危険なことではないのか、自戒もこめて。
世界情勢も歴史も、知れば知るほど複雑で、途方に暮れるけれど、理解するために分かりやすくしてしまうと、何かを取りこぼすことになる。分かった気にならず、分からなさの中で立ち止まりたいと思った。
紀子

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