トメさん

ぼくは明日、昨日のきみとデートするのトメさんのレビュー・感想・評価

3.9
時間・時制を起因とした感情というのは、結構多い。というか、ほとんどが時間絡みな気がする。
初めてできたから嬉しいとか、間に合ったから嬉しい、限りある時間の中で奇跡的に出会えたから嬉しい。間に合わなかったから悲しい、最後だから悲しい。みなさん自身の感情も時間と結び付けられることが多いと思う。過ぎ去る時間、移りゆく時間がなければ、悲しさはないけど、嬉しさや幸せもない。

映画のなかでは、時間と感情というのが、とても密接に関係しているのがわかる映画。そして、それを体験できる映画だと思った。
えみちゃんも、タカトシくんも、結局それを知らずうちに理解できていたんだと思う。

嬉しさとか幸せとかを生む時間が生む悲しさを受け入れていく姿を見ていると、映画を見終わったあとも全然寝れなかった。

その受け入れには、やはり幸せの過去の思い出が大事で、その幸せな過去の思い出をつくるには、結局未来でも過去でもなく「今」を愛しながら生きるしかないということ。ある意味、認知症を患ったパートナーを例えたようなファンタジーだったが、そういう時に、今を愛しながら2人で生きてきたことが、未来を救うんだな。

寝付けなかったという話をしたが、この映画を見ていると、文化祭の準備をしていた実際に文化祭が始まったときに終わりを意識し始めて楽しめないという「祭りは祭りよりその前の準備が楽しいよな」現象とか、12話で完結するドラマが最終回に向けて盛り上がっていくが、それと同時に、この楽しさが終わってしまうのかという「続編あったらいいよな」現象といった、寂しい感情に移っていく受けた側とそんな寂しさなんて微塵も感じさせない発信側(祭り・ドラマのストーリー)のギャップが生み出すなんとも言えない状況。このような感情は滅多に起きない感情だけど、一回はみんな経験したことある感情で、感覚。その感覚を久しぶりに呼び起こされる感じがして、寝れない。「あー、なんか普通の映画とは違う感覚が活性化させられてるわーっ!」って思った。

そんな時間と感情の関係とか「今」の大事さ、そしていつもと違う感覚・神経を活性化させたい人にオススメな映画。
そして、なによりもえみちゃんを演じる小松菜奈ちゃんが好きな人にももちろんオススメ。
トメさん

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