Yu

ロープ/戦場の生命線のYuのレビュー・感想・評価

ロープ/戦場の生命線(2015年製作の映画)
4.0

ゴヤ賞で最優秀脚色賞を獲得し、しかもカンヌでは上映終了後に10数分に及ぶスタンディングオベーションが起こったと聞いて、2月公開作で終了間際だったけどなんとかギリギリ駆け込み💦
確かに評判通り素晴らしい作品だった。

久しぶりにティム・ロビンスを観たなぁと調べたら個人的には「宇宙戦争」以来…
ただ、ベニチオ・デル・トロと共に物凄く味のある芝居してて、大半はジョークしか言わない中で、たまに見せるシリアスさは今作の持つ奥深さを的確に表現していた。

前半は伏線と状況説明に時間が掛かりやや冗長気味だが、少年の両親のくだりから一気に話が魅力的になる。
登場人物の役割とカメラワーク、牛や犬といった動物の使い方が実に巧妙で、戦場の最前線にいる緊迫感の演出がとてもうまい。
国際活動家ということで武器を全く持っていない状態の中、生命の危機を常に抱えながら、いかに切り抜けていくかはかなりの見どころ。
この監督はドキュメンタリー作品が得意らしく、そんな彼ならではのリアリティ表現が随所に散りばめられていた。

これがクストリッツァだったらドカンドカンと牛が地雷で吹っ飛ぶシーンとかを撮影していただろうが、実際にそういった映像は全く見せず、それでいて戦争・紛争のもたらす恐怖を表現しているのが秀逸。

原題がA Perfect Dayと冒頭に出てくるが、ラストに発せられたそのセリフからの物語の締めくくりはとてもウィットに富んでてお見事。
これは確かに拍手が起こってもおかしくない🤔
スクリーンで観ることが出来て、心底良かったと思えた佳作だった。
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