画家は部屋の壁一面に自分の描いた絵画を並べていく。描いていくうちに自分には足りないものがあることに気がつく…
自室から出て結婚相談所へと向かうとき、隣り合った額縁の枠の中、絵から絵へと主人公は歩いていく。それがとても面白い。
そっか、彼は絵を描く人であり、絵の中の人物なのか。
だから、結婚相談所でも絵の中のミューズを紹介される。それらは、名画へのオマージュでもある。
でも、それは誰かのミューズであって、彼の望むその人ではない。
私がこの先の人生に望むものって何だろう。私も彼のように自室に閉じ込められたような毎日で、今あるものもいつか失うかもしれないし、この先の自分に足りないものは何かと、考え始めている。彼が朧げながらミューズをイメージしたように、私も光に包まれた未来をちゃんと見えるようになるまでしっかりイメージするべきときなのかも、
幸い時間はたっぷりあるのだから。