ノラネコの呑んで観るシネマ

ダゲレオタイプの女のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)
3.4
黒沢清は、フランスで撮っても黒沢清。
巨大ダゲレオタイプにこだわる、マッドな写真家の助手になった青年を主人公に、モデルである写真家の娘との奇妙な三角関係を描く、いかにも彼らしい幻想怪異譚。
ただ、やっぱり私はこの人の映画とは相性が悪いんだよな。
永遠を写しとる写真の精神性と、幽霊あるいは幻想を対比させて、虚実をシームレスにするのは良いんだけど、どうしてもあちこち御都合主義に見えてしまう。
まあ、えらく雑だった「クリーピー」程酷くはないんだけど、観てて登場人物が「なんでそんな事すんの?」てとこが多数。
ダゲレオタイプも、途中から割とどうでも良くなっちゃう。
黒沢清は典型的なテリングの人だけど、演出が凄いからと言って、筋立ての荒さには目を瞑むれない。
まあ世界中にいる彼のファンには、どうでも良いことなんだろうけど。