にゃんにゃん

昼下りの情事 変身のにゃんにゃんのレビュー・感想・評価

昼下りの情事 変身(1972年製作の映画)
4.3
久しぶりにちゃんと頭使う古式ゆかしいロマンポルノが観たくなって、こういう時は田中登か加藤彰。しかも脚本宮下教雄。貧乏長屋で家族の生活支えて昼夜働く青山さん、返還直後な沖縄から兄・高橋明を頼って東京に出てきて、兄嫁絵沢萠子の性のはけ口にされながら、憧れの清楚な常連客青山さんへの想いを胸に真面目に働く花屋の純朴青年風間杜夫。二人に通底する孤独と閉塞感が心にしみる。若い風間杜夫観ると私それだけで胸がキュッとして切なくなるんだわ。職場女子トイレ出口付近で突然おっぱじめる浜口&相川、出るに出られなくなる青山さん、鏡ふたつ使った撮り方が秀逸でゾクゾクする。青山さんが夜の蝶モードに変身するとこもすごい。せっかくセーラー服コスプレさせたのにすぐ脱がす客の謎。初期ロマンポルノでよく流れる、たぶん「学生妻しのび泣き」の曲はじめ、音楽がひたすら素晴らしい。佳い作品だけど、傑作になるにはガラスの天井を打ち破りきれない頭打ち感があった。なんでだろ。
230226、再鑑賞。やはり佳き映画。
231125、再鑑賞。初鑑賞時はガラスの天井を打ち破りきれないとか書いてるけど、やっぱこれは傑作だと思う。何回も観ちゃうもの。蹂躙される沖縄と、優雅に見えて苦労してる本土、本当は孤独なのは一緒なのに、お互いの本質が見えない、理解し合えない関係性。再投稿したら、初回鑑賞がいつだったかわからなくなった・・・。
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