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ぬるぬる燗燗のchanmoreauのレビュー・感想・評価

ぬるぬる燗燗(1996年製作の映画)
3.5
深夜何気なく見始めたらなかなか楽しい😀
まずこのタイトルが良いよね

冒頭に流れるのが大和屋竺の唄声
「殺しの烙印」の主題歌の替歌にニヤリ
居酒屋の主人役は藤田敏八
繁盛の理由は日本一のぬる燗だと言う
どんな燗の付け方か知らんがともかく絶品😋
そんな中ある客がもっと凄いぬる燗があると
噂のぬる燗は川沿いの今で言うキッチンカー
のような流しの居酒屋が出していた
そのぬる燗の味に主人は驚く

パキさんこと藤田敏八は本来監督なのに
「ツィゴイネルワイゼン」で役者を演じ
「リボルバー」を最後に監督から降りて
役者ばかりやるようになってしまう
ここでも決して上手い芝居じゃないんだけど
何だか味のある存在感で商売敵のぬる燗に
「美味しんぼ」のように講釈を付ける姿が
何とも可愛らしい
実は亡くなる1年前で寂寞とするなぁ
その商売敵役がピンク映画監督の渡辺護
というのがまた面白い

そして日本一のぬる燗の秘密というのが
また笑ってしまう😀
「それはもう少し温度の低い人肌感では」
というツッコミも野暮に思える楽しさだ

3人のタイプの異なる女子が登場し
ちゃんと新東宝らしいポルノにもなっている
松本コンチータがいかにもあの時代
でもこの笑えるのに映画的な触感は
「変態家族 兄貴の嫁さん」を思い出す
もとは関テレの番組だったらしく
相米慎二「お引越し」「夏の庭」など
90年代の関テレは良い仕事残してるなー
ドラマ版は敵役が大和屋竺だそうで観たい!

そして特筆すべきは撮影監督の芦澤さんで
日中屋外の光の繊細な扱いもさる事ながら
夜の川辺のシーンでの照明、特に
炎とキャンプの灯りを手前に置きながら
奥に電車が走るカットにはかなり痺れた
助監督が青山真治だったり
居酒屋のカウンターに黒沢清が座ってたり
72分の小品だけれど充分楽しめる一作

ちなみにフィルマでは90分とあるけど
それはドラマ版でDVDにもなっていて
掲載されてるジャケットもそちらの方
劇場版は72分で未ソフト化なので注意⚠️
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