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シラノ・ド・ベルジュラックのFancyDressのレビュー・感想・評価

3.8
面白かった!
これは、ラブストーリーだが、活劇でもあった。
シラノを演じたジェラール・ドパルデューがとにかく良い!

本作の主人公シラノは、
無神論と唯物思想を公言する詩人、作家(SFの先駆者ともいわれている。)、理学者、哲学者、剣術家と様々な顔を持ち合わせた才人であり、あらゆる常識を嘲りぶち壊してやまない剛毅な精神の持ち主である。この人物像がまず魅力的なのだ。(実際に、17世紀のフランスに実在した人物でもある。)

ちなみに、このシラノ・ド・ベルジュラックは、過去にも何作も映画化されている。

本作は、エドモン・ロスタンの戯曲を原作にしているのだが、ジャン=ポール・ラプノーと脚本のジャン=クロード・カリエールは、原作戯曲を見事に映画的に構築して描ききっている。

本作の監督、ジャン=ポール・ラプノーは、レイモン・ベルナールやルイ・マルの助監督経験があり、『地下鉄のザジ』、『私生活』、『リオの男』などの脚本を手掛けてもいる。

本作の脚本を手掛けた、ジャン=クロード・カリエールは、ブニュエルの『昼顔』、『銀河』、『ブルジョワジーの密かな愉しみ』、『欲望のあいまいな対象』、ジャック・ドレーの『ボルサリーノ』、ゴダールの『勝手に逃げろ/人生』、大島渚の『マックス、モン・アムール』、ジュリアン・シュナーベルの『永遠の門 ゴッホの見た未来』などの脚本を手掛け、キアロスタミの『トスカーナの贋作』では出演している。

この華々しい経歴の2人が組み、名優、ジェラール・ドパルデューが主演なんだから、それだけでも見て損はないだろうと、何の予備知識もなく見てみたら、面白く、当たりだったわけね。

フランス文学者で学習院大学文学部フランス語圏文化学科教授の中条省平先生は、「映画『シラノ・ド・ベルジュラック』には、フランス文学の精髄が結晶しているのです。」と発言されていた。




本作は、活劇ありラブストーリーありの悲喜劇の傑作であるといっておく。
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