タナカリオ

聖の青春のタナカリオのレビュー・感想・評価

聖の青春(2016年製作の映画)
3.5
舞台の始まりは1994年。レジを手打ちする音、固定電話のボタンを押す音など、現在ではあまり聞かれない音もある。しかし、昔から変わらない音の一つに、『駒を盤上に打つ音』があるだろう。
この映画は村山聖という棋士の生き様を描きながら、この『駒を盤上に打つ音』が劇中、様々な意味を持って響く。

伝記映画、としては比較的淡々と過ぎていく。しかし、将棋ならではの”静かだがとても熱い戦い”が役者の顔の表情1mmからも再現され、観ているものは息がつまる程の緊迫感を体験する。

この映画を観た殆どの人が、好きなシーンとしてあげるだろう、村山聖さんと羽生善治さんのサシ呑みシーン。将棋以外は全く共通点のない2人が、たった一つのことで、こうして繋がり、向かい合っている。という象徴的なシーンだった。よくクロサワ映画では人物の感情と共に、背景で雨が降っていることが多いが、この2人のシーンの背景で降っていたものは…

最初、予告で観た時、羽生さんご本人が出演してると思って観たら普通に役者さんでした。
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