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ラプト(原題)
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『ラプト(原題)』に投稿された感想・評価

3.7
2009年のリュカ・ベルヴォー監督作品。ベルギー出身の彼は80年代に俳優としてデビューする。クロード・ゴレッタ監督『マリオ・リッチの死(1983)』やクロード・シャブロル監督『意地悪刑事(1985)』『ボヴァリー夫人(1991)』など有名監督の作品に出演しキャリアを重ねていく。1993年には監督にも進出し、2003年にはリュカ・ベルヴォー3部作と呼ばれる3つの作品を発表している。『Cavale』は犯罪映画、『Un couple épatant』はラブコメ、『Après la vie』は人間ドラマと異なったジャンルでありながら、同じグルノーブルを舞台とし、同じ時間、同じ登場人物で描かれており、一つの作品で主演を演じた人物は同じキャラクターで他の作品では脇役を演じている。同じ時間が描かれいて続編ではないのでどの順番で観ても違和感のない作りとなっている。
その後ベルヴォーは『La Raison du plus faible(2006)』、『Rapt』、『La Raison du plus faible(2012)』と実際の事件をもとにした作品を立て続けに撮る。その中で本作『誘拐』は1978年に起きたアンパン事件に基づいている。これはベルギー人の実業家エドゥアール・ジャン・アンパンがパリで誘拐されて2ヶ月間監禁された事件である。

裕福で著名な実業家スタニスラス・グラフ(イヴァン・アタル)は仕事での会議や愛人との密会など忙しく、分刻みの行動をしている。冒頭の階段を駆け降りる姿はその忙しさだけでなく、彼のこれからの人生が下降していく象徴でもあるだろう。運転手が待つ車に乗り込んだ彼はすぐに事件に巻き込まれる。彼の乗る車の前でバイクが非接触の転倒事故を起こし、心配した運転手が降車した瞬間に、バイクの男は銃を突きつけ、別方向からも武装した男たちが現れ、あっという間に車を奪い取りスタニスラスに手錠を掛けて彼を誘拐し廃工場で監禁する。誘拐犯たちはスタニスラスの指を一本切り落とし、5000万ユーロの要求と共に彼の会社に送りつける。指が誰のものか鑑定はしていなかったものの、スタニスラスの不在や彼の爪を噛む癖を思わせる指先を見て、会社の人たちや家族は彼のものであるとひとまず断定する。5000万ユーロという大金に対して家族と会社の意見が分かれ、彼が返済できそうな2000万ユーロなら会社から貸せると値切ろうとする。このためスタニスラスは監禁されたまま物語自体もなかなか進まない。その間にマスコミは誘拐された実業家の私生活について暴き始める。愛人との愛の巣、ギャンブルでの莫大な借金など家族も知らないことが暴露され、警察は借金苦からの狂言誘拐も考え始める。彼が不在の間に会社でも家庭でも地位が低下していくのだった。

本作は前半が古典的な犯罪スリラーとして始まるため、主人公が無事であるかとか犯人グループは誰なのかといった方向に向かいそうなのだが、主人公が監禁され、動きを止められてからは、彼というよりもその周辺の物語になっていく。会社での力関係や駆け引き、夫(父)の不倫が発覚した際の妻や子供の心理的な負担などが犯罪それ自体よりも力点を置いて描かれるようになる。かつてトリロジー3本で描いたような多層的な内容を一つの誘拐事件を軸に描いてみせた本作『Rapt』に映画作家リュカ・ベルヴォーの成熟が見えるだろう。