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スイス・アーミー・マンのsnowwhiteのレビュー・感想・評価

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
3.7
賛否両論のこの映画、私は好きだなあ。



(以下ネタバレあり。感想)
無人島で助けを待つ主人公の前に死体が流れ着く。死体が浮いているのを見て浮きに使えるのではと思いつく。死体につかまり陸地を目指すが死体がおならをしてガス噴射、あっという間に陸地にたどり着く。

シュールな始まり方だ。これを笑って観られるかそんなことあるはずないと思うかでこの作品に対する評価はほぼ決まるのではないだろうか?

私は面白いと思うタイプの人間だ。どんな奇想天外な設定でもそれに乗っかろうと思う。だってそうでしょう?そうじゃないと楽しみを逃すことになる。

映画の設定があり得ないのではなく、その人の想像力が足りないのだと思うけどなあ。もったいないなあ。楽しまないと損々。

さてこの死体、おならをするだけでなくしゃべります。下ネタも満載です。この死体を演じているのが我らがハリポタです。

ハリーポッターのシリーズは大好きで全部映画館に観に行きましたが、実はダニエル・ラドクリフがあまり好きではありませんでした。ついでに言うとハリーよりロンやハーマイオニーの方を応援しながら見てました。というかラドクリフがどうも気に入らないからハリーも気に入らなかったのかもしれない。

ですがスイス・アーミー・マン見てラドクリフを見直しました。若くしてスターになってあんな成功を収めちゃうと中々こんな役引き受けられませんよ。落ちぶれてどうしようもなくなってから引き受けたのではないですからね。これだけで偉いです。

話を戻して、主人公は実は自殺をしようとしていたのですが遭難してみて死ぬのが怖くなります。

現実社会ではうまくいかないことばかりで絶望してて生きるのも嫌だしかといって死ぬのも怖い。

ここで死体君の出番です。死体君と話をすることで生きるということはどういうことなのか考えたりします。

恋人に会いたいという死体君。それは主人公の願望でもあるような...。

死体君、実はすごく役に立ちます。それも奇想天外な役の立ち方!!色々役に立つということでスイス・アーミーナイフのようだからスイス・アーミーマン。

主人公は沢山死体君に助けられるが、主人公が死体君を必死で助けたりもします。

結構手のかかる死体君。

そんなこんなでいろいろあってやっと現実社会に戻れそうなところで死体君は主人公に別れを告げて死んでいきます。(いや、もう死んでたね、初めから。忘れてたわ。笑)

死んでいく死体君の演技良かったです。泣きそうになりました。(コメディなので笑って観てくださいっ!笑)

死体君は主人公を助けるために現れた神のようでもあり、主人公の心の中なのかもしれない。願望、苦しみ、恐れ、いろいろ混ざった主人公の心を具現化したのが死体君だったような気がする。

死体君に助けられて自殺を思い止まって生きていく勇気を与えられたようでもあるが、実は主人公が自分で乗り越えたのかも知れない。

最後の別れのシーン、もう僕は要らないでしょ?だって君は一人で大丈夫だよねと言っているようだった。ラドクリフいい眼をしていたなあ。いい演技でした。また泣きそうになってきた。

死体のメークで惑わされて、気持ち悪いと受け付けない人が多いかもしれないけど、最後のシーンはとても美しかったし感動的だったと思います。後味も良かった。流石A24の作品ですね。
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