からあげどん

スイス・アーミー・マンのからあげどんのネタバレレビュー・内容・結末

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

人付き合いができず孤独に生きてきた男が遭難して孤独死しそうなところ、死体のようで死体じゃないスイスアーミーナイフの人間版であるメニーと出会い、メニーを駆使して生き残り故郷を目指す過程でメニーと友情を育み、生きることの素晴らしさと人生の喜びを見つけ出すハートフルストーリー。
ただし、故郷の方角はメニーの勃起で示される。

正直真面目に見るのは大変難しいし、むしろこれを楽しめないのは心の狭さの表れではないだろうかと思わされる。
それに、死体であるメニーは死体ゆえに思考が緩く、良いことは良い、悪いことは悪い、みたいに直接的に話す。
これが、周りの目を気にしすぎる主人公の苦しみみたいなものをとてもうまく指摘していて、2人の友情を深めるような感じになっている。

それから、最後がやっぱりすごい。
ようやくメニーと主人公の心が通じ、このまま故郷にたどり着けなくても2人で生きていける、みたいな感じになったところで、突如故郷に帰り着いてしまう。
けれど2人の関係性は森の中でこそ成立していたもので(メニーは死体だ)、その突然無防備なまま現実に放り出される感覚がすごい。

そして最後は、ハッピーエンド?
正直、このオチを思いついた人は偉すぎる。
現実の側に立つ女の台詞も秀逸だ。

他人には勧められないけど、見てよかったと思えるB級映画。