狂王キシリトールヴィヒ2世

パターソンの狂王キシリトールヴィヒ2世のレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.5
個人的に感じたことでしかないけど、ジャームッシュのインディー的な魅力はかなり失われた気がする。大好きな友達をハイセンスな画で捉えてみたって感じはあまりない。センスが半端じゃなくて痺れるって感じのショットはほとんどなくて、今作はどちらかというと洗練された普通の映画な感じの映像が多い気がする。そうした中でアダムドライバーの演技や妻の創作物として登場する小道具や犬やちょっとしたおかしさが光る。人が会話していたり何かが起きたり何かが存在したりすることに対するアダムドライバーの感情の発露、その優しくて微妙な演技がたまらなくておかしい。仕草ややりとりが説得力を持って自然に人々の人間性や関係性を感じさせる。そうしたやりとりの中でも永瀬の登場シーンが特に好き。ジャームッシュのアーティストへのリスペクトが登場人物たちの基本スタンスにもあって観ているこっちまで他人に対する感動が大きくなる。また今度観た時にはもっと多くの魅力を感じ取りたい。