パターソン市のバス運転手パターソンと妻のローラの日常に陶酔、なんて幸せな2時間。詩的な2時間。
1週間を切り取ってみせてくれるパターソンの世界はその画面外の日常をも想像させ、作中の日曜日に新たなノートが届いたとき、彼はまた日常を詩的に切り取る。
毎日起きる時間、牛乳に浸したシリアル、妻のローラと挨拶のキスを交わして、仕事に出かける。詩をちょっと書いたら帰宅、ローラとその日の話をして、犬の散歩のついでに寄る日課のバー。毎日彼らが見る景色は一新されているように日毎に変わるカット。そんなパターソンたちの日常を観ていることが幸せで、あまりにも映画的でもう!
面白かったのは、ちょっぴり不思議でユニークな「双子」的な存在。パターソン市のパターソン、ローラと詩人の愛する女性ラウラ、バスに乗車していたり、ベンチに座っていたり、ああ、「誰か」と「わたし」は日常で自然に繋がっているのかもしれないなんてロマンチックな気分にさせてくれる。
こんなに大切に毎日を過ごせたら、ローラみたいな女性になれたら、パターソンの世界はあまりにも優しくて、それが珍しく感じる。
人生の中で迷ったら何度でもパターソンの世界に入って、その優しさに包まれて私にとっての詩を紡ごう。
ジャームッシュ作品で1番好き。