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パターソンのEDAのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.8
どこが良かったか具体的に説明しづらいが、とても良かった。
詩作を趣味とするバスドライバーの一週間をただ淡々と描いた本作。劇中、映画的な見せ場は何一つ起こらないが、たまらなく好きなシーンやセリフがたくさんあった。この作り自体がパターソンの毎日のよう。
一見何の変哲も無い退屈な毎日も目を凝らせばキラキラ光る瞬間がたくさん転がっている。あのカーテンのドーナツみたいな模様や彼女の焼くカップケーキ、街中にいる双子みたいに、一見瓜二つに見えても全く同じ日なんて無く、毎日が新しい日。
この夫婦の間にたまに不穏な空気が流れるのも良い。日々の中で生じる違和感や齟齬を水と一緒にゴクリと飲み込むことで共同生活は成り立っていくのかな。
パターソンの運転するバスは川の水の流れのようにお決まりのコースを一定方向に毎日進み、決して逆行することはない。日々も同様。焦らずゆっくりと歩き、自分の言葉で真っ白なノートに"今"をしたためてゆく彼の生活がなんだかすごく羨ましかった。
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