Iri17

パターソンのIri17のレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
5.0
僕は死なないために映画を観ているから、映画を観て死にたくなる事は基本的にない。でもこの映画を観ている最中死にたくなった。あまりに現実的な、ありふれた日常を描いているから。何も起こらない退屈な毎日。こうやって日々歳をとって僕たちは死んでいくんだと思ったらいつ死んだって一緒じゃないかと。

でも、この映画を観終わった時、僕はまた今日も明日も生きようと思った。
パターソンの毎日は確かに同じような毎日だし、色合いはほとんどないし、これからも変わらないかもしれない。しかし、パターソンは幸せそうに見えた。彼は変わらない日常の中に、幸せを見つけている。詩が好きな女の子との出会い、彼女のパンケーキやギター、バーの店主との会話、バスの利用者の会話、そんな小さな幸せを彼は楽しんでるのだ。同じような毎日でも同じ日は決してない。詩人であるパターソンは世界の小さな幸せを見つけるのが得意だ。冒険や挑戦がある人生は確かに素敵で楽しいだろうが、同じような毎日を幸せに生きる事だって可能だ。それは自分の世界の捉え方次第、感じ方次第だ。

僕は将来の自分や人生の意義について悩んでいたけれど、この映画は僕の悩みに1つの答えを与えてくれた。本当に素晴らしい映画をありがとうございます。人生を変えてくれた一本でした。
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