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パターソンのもちのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.7
バス運転手のパターソン。毎朝寝ぼけ眼の妻にキスをして、昼には乗客を乗せては降ろし、夜は愛犬のマーヴィンを散歩途中にバーに寄る。決まった毎日、変わらない人々。

パターソンは詩を書くことが趣味、というよりパターン化した日々の一部となっています。世界中に夫の詩の素晴らしさを知って欲しい妻と、自分の中で完結するので充分な夫。

最後の方では変わらない日々に事件が起こります。パターン化した生活を描いているのに、全体を通して安定はしていないんですよね。パターソンの妻に対する不満を言えないところとか、バーで起こる人間関係のいざこざとか。ちょっと不協和音っぽくも聞こえます。

他の国の人にとっては謎の日本人がミステリアスに映るのかもしれませんが、私にとってはなんだこの人でした。

パターソンを見て、退屈な映画だと思う人も、こんな穏やかな日々を過ごしたいなと思う人がいると思います。私は後者でした。

愛する人が側にいて、たまにちょっと良いレストランに行ったりお洋服を買えるくらいの給料を貰える仕事があって、生きがいとも言える趣味があって。

世間では、その生活水準を保つのが難しいんだよなんて言われますが、人と比べる事なく「自分は幸せ」と思えるなら良いですね。
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