あさイチという番組のゲストで童話作家の角野栄子さんが出演されていた。
彼女は若い頃に単身ブラジルに旅立った話をされていた。当時ブラジルに行くのはフェリーしかなくなんでも2ヶ月間かかったらしい。
フェリーの中で2ヶ月なんて退屈もしそうだが彼女は言う
「でも、同じ日なんてないのよ。」
僕たちは何も代わり映えしない退屈な日常に嫌気がさしたりする。
パターソンは派手なガンファイトはないし、人は死なないし、感情を爆発させたり涙も見せない。
僕たちの代わり映えしない退屈な日々のように。
だが、よく目を凝らして観るとどうだろう。一見ルーティンのように見えるが実は同じ日々なんてないと言うことが、まるで逆説的に見えてしまうのだ。
ギターを買えば次の日はギターが弾けるし、カーテンも変われば気持ちも変わるじゃない?
「最悪だよ。」とぼやく配車係のドニーとバスの中で詩を書いているパターソンの位置関係が違うのはきっと偶然じゃないだろう。
日々というのはつまるところ、そういったモノの積み重ねでしかない。
パターソンは大切な物を失う。
だが、彼は大切な物を手に入れたようだ。アハーン。
翌朝、出社する時に見るいつもの景色。退屈極まりないが、やけに雲や太陽のグラデーションが美しく思えた。
パターソンのような詩の才能はないので代わりに音楽を聴いた。カーラジオからはスローバラードが流れ悪い予感のカケラもなくなった気がした。
何となくパターソンのポスターからミステリー・トレインの永瀬正敏と工藤夕貴のカップルのようだなと思ってたら、永瀬正敏が出てたのでアハーンと思った。