初めてのジム・ジャームッシュ監督作。ハリウッド映画ではなかなか味わえない独特な作風で、何気ない日常を淡々と描いているように見えて、引っかかりのあるエピソードが少しずつ積み重ねられていく感じ、個性的な登場人物が普通の温度で風変わりな行動をする感じは、どことなくヨーロッパ映画の空気を感じさせて、とても心地良かった。
何が起こっても終始穏やかで、大きな感情の起伏を見せないパターソンが、終盤に起こったある事件によってその表情を曇らせたのが印象的で、表情や口に出した言葉だけでは計り知れない、彼が書く詩の世界にも繋がる内面が見えた気がした。
日常を描いているようで、寓話の世界に迷い込んでしまったような、言葉にできない余韻が印象的な作品だった。