ゆかふ

パターソンのゆかふのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.9
思わず停止ボタンをおして窓を開けて空を見上げずにはいられなくなるような映画。

詠まれるすべてのポエム、芸術家肌の奥さんとの会話、バーの人々、ワンちゃんの顔🐶
はじめから最後まで、全部のシーンを静止画にして飾りたい。

余白が美しいジムジャームッシュ監督の映像美と、セリフの余韻や間の妙が相性バツグンで、パズルのピースがぴったりとはまるように完成されている。

大きな出来事が次々と起こる作品で観賞者を飽きさせないのは簡単だけど、ニュージャージーで暮らすバス運転手の日常をこんな風に魅せてくれるなんて、その才能に感服する。。
特に、ラストのシーンがツボ🧟‍♂️
初期の村上春樹の、「やれやれ」だとか「あるいは」だとか「春の熊のような」だとか「そのまま、僕の質問には答えず、深い思考のなかに自らの身を沈めてしまった」だとかのセリフまわしが好きな人はハマるかもしれない。

パターソンのノートがあんなことになってしまっても、偉大な詩人がいなくなっても、どこにでも言葉を紡ぐ人はいるし、優れたポエムは後世に引き継がれていく。

日本人の感覚に合うと思う。
京都の禅の庭に行きたくなるような映画。
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