せいけ

オルメイヤーの阿房宮のせいけのネタバレレビュー・内容・結末

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

独特なリズムで撮られた映画
これがシャンタル・アケルマンか
冒頭から最早変わっている、これ普通の映画なら間違いなくエンディングになる間合いでショットとショットが紡がれる
我が意を得たりというわけではないけど、確かに時系列の最後の部分ではあった
ただ、ここから“過去”のシーンを描くにあたって時間経過の感覚が独特で100%この映画に乗れなかったのもまた事実
それでもアジアを舞台に白人男性の葛藤と欺瞞を抱える親から離れたい娘の物語という構造は見どころがある
ただやはりアンバランスなのは、内面を示す独り言がやたらと詩的なのが映画的なアクションと絡んでこない
なんなんだと思うとこの父親は全く行動しない、口車に乗せられて勝手に人に期待して裏切られた狂っていく哀れな男だとわかってくる
娘もお尋ね者に導かれて、結局は自分の心を失ったまま取り戻すことなく、“現在”のパートに至っていた
これを観てどう感じたらいいのか分からず、長いなと思いながらもあっという間に映画が終わっていたような不思議な映画体験だった
舞台立てと父と娘の関係性から、地獄の黙示録と小津安二郎を合体させたようなというのは流石に安直なのかな
思えば白人酋長者を量産していたハリウッド大作へのアンチテーゼに見えなくもないような