清々しくもほろ苦い青春ドラマも良いのだけれど、それ以上に映画作りを目指す若者たちを応援するようなラストにグッと来る。夢だけでは映画は叶わないけれど。夢を持って行動することも大事というジャック・ベッケル監督の力強いメッセージ。
冒頭10分で多彩な登場人物を軽快に捌いてそのキャラクターを簡潔に説明したり、キレキレな編集でストーリーを淀み無く進行したりとベッケル監督の演出は相変わらず絶好調。そしてジャズや車などといったアメリカ映画への憧れを感じさせるアイテムの使い方や奔放な語り口は、ヌーヴェル・ヴァーグなど後進のヨーロッパの作家たちを先取りしているようで改めてベッケルの偉大さに舌を巻く。若き日のゴダールが本作を見て映画製作への期待を膨らませたのかもと想像すると胸が熱くなる。
テレビドラマなら3話分やってそうな展開を終盤20分でまとめあげる怒涛の話術も見所、そして飛行機内にいる主人公たちとその外にいる人間が会話するというハリウッドみたいなシチュエーションを金もかけずやり遂げてしまうラストの奇跡。