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北斎のcookieのレビュー・感想・評価

北斎(1955年製作の映画)
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北斎の作品が、ナレーションと芭蕉の俳句等を絡めて次々と映し出される23分の美術映画。

アップで舐めるように映されるひしめき合う人々。次第にそれが歌舞伎の舞台をみている活気ある市中の人々であることがわかるという見せ方に目を見張る。

北斎漫画(今まで知らなかった💦)の中のフィジカルな動きを次々とパラパラ漫画のように繋ぎ合わせた映像からは、筋肉の描き方によるものだろうか、躍動感がみなぎっている。北斎は解剖学の知識もあったそうだ。

風景画の中にほんの小さく描かれている人々も、ズームしてみると生活感があり生き生きとして見えるし、雨風や鳥までもその勢いや生命を感じさせていた。

14歳でまず版画を、後に絵を始めた北斎。遠近法などの構図が海外にも影響を与え、老いてもなお向上心は衰えなかった。91歳で亡くなる時でさえ「あと10年、いや5年でも良い」と、その道を全うするにはまだ足りない思いを言い残したという。

1953年製作なので仕方ないが、一番残念なのはモノクロなこと。
それでも時代背景や北斎の生き方を重ねながら、今までとは違った視点で作品の数々をみる発見があった。

華道家元で陶芸・書道・舞台演出など、広く活躍した総合芸術家 勅使河原宏の初監督映画。

ナレーションのせいもあってか時代を感じさせる教育映画的な堅苦しさに、何度かうとうと...😴
面白味のある映像だったのは記憶していて、後日見直したもの。
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