Jeffrey

東京1958のJeffreyのレビュー・感想・評価

東京1958(1958年製作の映画)
2.8
「東京1958」

本作は勅使河原宏監督が一九五七年に日本二十時間映画を普及する目的で結成されたシネマ五七で働いていた様々な監督たちと仕事をして実績を積んでいた頃に、五八年の四月にブリュッセルで実験映画祭が開催されることを知った彼がこの作品の制作を企画したそうだ。どうやら資金難に悩まされていたようだが、約八十日間で完成させ、ナレーションにジャン・ルキエと英語部分を冒頭に出演もしている映画評論家のドナルド・リチーが担当したそうだ。

一生懸命に外国人が日本の歌舞伎の絵などを見ている姿がカット割りされる。当時流行しつつあるアバンギャルドな作風で、カラーとモノクロ映像を混合に写してくる。途中でフランス語の説明文に変わったり、白塗り仮面のような日本人女性の真っ白な化粧をしている早回しのシーンなどがある。フランス人による日本式の結婚式や着物の帯の締め方などを解説したりしていてなかなか面白い。結婚式用の着物が二百万すると言うことで、それぞれの部分がいくらかなど計算をしていたりして外国人目線で日本の文化を捉えている感じが個人的にはすごく好きだ。

それに明治天皇を祀る明治神宮の描写や、当時の政府の重鎮などを語っているのもなかなか笑える。東洋一のダムを建設した佐久間などにも言及していて驚く。そして昭和天皇が現れて国民が万歳するシーンなどは感激して涙が出る。あの皇居前広場の何万人の人混みの描写はやっぱり圧倒される。この作品わずか30分程度しかないが西洋人の視点に立って東京を眺めている感じとユーモラスな演出と現在の日本(高度成長にさしかかろうとしている時代)と江戸時代の対比が面白い。この昭和という時代が本当にうらやましい時代だなと…。
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