KAYA

ジュリエッタのKAYAのレビュー・感想・評価

ジュリエッタ(2016年製作の映画)
3.8
ファーストカットから鮮烈な赤。
アルモドバル作品はどれも非現実的な程悲劇的なのに、強烈にリアルで感情を掻き乱されるのは何故だろう。上手く理解できないのに前に立つと何故か昂ってしまう現代アートのようでいて、目が覚める程鮮明なポートレートのようでもある。ストーリーはこれまでと比べると穏やかだけど、その分随所に散りばめられた鮮やかな赤が感情を代弁するように際立ってた。母親との確執に悩む娘が撮ったものでないのが信じられないけど、この複雑さは彼だからこそ描けるものかもしれない。
始まりの揺れる赤と終わりの木漏れ日が印象的で、号泣しながら生まれ静かに死に行く人間の一生と、孤独と狂気に苛まれる運命であった母と娘の穏やかな救済までの両方を表現しているように感じた。
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