ジュリエッタの作品情報・感想・評価・動画配信

「ジュリエッタ」に投稿された感想・評価

KKMX

KKMXの感想・評価

4.3
相変わらず考察しづらいアルモドバル。本作はジュリエッタという女性が娘との関係を軸に半生を振り返る作品でした。
非常に面白かったです。泣けるとか感動するとかではなく、ジワ〜っと沁み入ってくる感じのガーエー。


中年(初老くらい?)の女性ジュリエッタは、12年前に一人娘に家出されて独りで暮らしてます。一応彼氏はおり、ポルトガルに引っ越して新しい生活を始めようと計画してましたが、偶然娘の友人と出会ったことで娘への思いが溢れ返り、ジュリエッタは亡き夫との出会いから娘アンティアとの日々を回想するというストーリーです。


ひとりの女性のままならない半生を丹念に描いており、そこから伝わってくる彼女の人生に通底しているイメージは、裏切りと罪の意識ですかね。
ジュリエッタの父親は認知症の母親をほったらかして異国の若い家政婦と結婚しました。ジュリエッタも昏睡状態の妻を持つショアンと恋に落ちて結局掠奪婚しました。そしてショアンは幼なじみの芸術家アバとも肉体関係を持ってました。
この裏切りの連鎖のような世界で生きてるジュリエッタは当然罪悪感があり、それは序盤に登場する自殺する旅行者やショアンの家政婦によって外在化されています。「これらの不幸はお前のせいだ」と。

で、実際にジュリエッタは娘アンティアも結果的に裏切ってしまいます。ショアンが亡くなったことをアンティアに伝えず、アンティアはその間キャンプや友だちとのバカンスを楽しんだのです。これがアンティアに深い傷と罪悪感を植えつけたことは想像に難くないです。
しかもショアン亡き後はジュリエッタは不安定になり、まだ少女のアンティアにテイクケアさせてましたし。
その果てにジュリエッタはアンティアが18歳になった時に、娘に捨てられました。


なんですかね。こう見るとジュリエッタはクソ女なんですが、不思議とザマァ感を覚えることはなかったです。ジュリエッタの裏切りを重ねる愚かさに、人間に共通する業のようなものを感じ取ったからだと思います。
多かれ少なかれ我々は愚かです。欲望に敗れて誰かを傷つけ、そして自分も傷つく。因果応報が繰り返されるも、そのたびに痛みを受け入れていくことが、その人が自分の人生を生きることにもつながるのかな、と推察しました。

アルモドバル作品は基本ラストに希望が照らされるような印象があります。それはダルデンヌ兄弟のように人間の良心を信じることが故に描かれる希望とは少し違うように思います。
アルモドバルの希望は、救いに近いかも。もっと超越的な印象です。おそらくこれが宗教的な背景(カトリック・マリア信仰)によるものなんだろうなぁと感じました。
とはいえ、神様が救ってくださる的な無責任さは感じず、罪に苦悩したものが結果的に赦しを得る兆しを感じる…みたいな印象。本作や『トーク・トゥ・ハー』を観ると、痛みを感じて苦悩することが、この厳しい世界を生きる人間の宿命のように感じました。そしてその宿命を生き抜いた者に、神はわずかな赦しを与えるのかなぁ〜、というのが信仰心の大事さを理解しつつも特定の宗教には帰依せず、知識もまるでない俺っちが抱いた本作の感想でありました。


あと、本作のユニークさは、ジュリエッタの人生よりも悲痛だったであろう娘アンティアの人生にフォーカスを当てなかったことです。あくまでもジュリエッタの視点からしかアンティアの苦悩はわかりません。断片的な情報から彼女の人生を想像するのも、本作の独特な面白さだと思っています。

ちなみにアンティアのお友だちのベアちゃんは上品なパツキン美女で、チョイ役ながらも満足しました!
MajorTom

MajorTomの感想・評価

3.6
ジュリエッタという女性の半生を中心に親娘のすれ違いを描く。今まで観たアルモドバル作品の中では比較的「毒」気が薄く、中途半端に残された謎も多い印象。でもやっぱり謎解きのような展開には引き込まれる。
Kota

Kotaの感想・評価

3.8
“知らないの、何も。”

一人娘アンティアと12年間音信不通になっているジュリエッタは、その悲しみを塗りつぶすように恋人のロレンソと住みなれたマドリードを離れようとしていた。そんな中、アンティアのかつての親友ベアと偶然出会い、自分の娘が生きていることを知り…。

ペドロ・アルモドバルが止まらない。カラオケな色合いとドロドロとした人間模様はそのままに、ただジュリエッタの壮絶な半生と母親としての喪失感を見事に表現した作品。このテーマで1時間半ずっと釘付けになってしまうのはやはり才能だな、と。

ジュリエッタを演じる女優は時系列で変わり、その転換のタイミングが素晴らしいのと、ラストの終わり方が“スリー・ビルボード”のような重たい話に少し希望の余韻を残すようで好きだった。家政婦を演じたロッシ・デ・パルマは脇役ながら毎度のこと存在感が凄い(笑)。
ルネ

ルネの感想・評価

5.0
2016年11月5日公開。 監督・脚本はペドロ・アドモルバル。

原作はアリス・マンローの短編集『Runaway』に収録されている3編。

ある女性が、12年前に突然姿を消した娘について語るお話。

ストーリーを全く知らずに観たら、その面白すぎる展開に引き込まれてしまった。 ペドロ・アドモルバル監督にしては結構普通なドラマなのだが、それでもやっぱり異常な部分を感じる。

テンポもいいし演技もいいし、何より終始漂う不穏な空気がたまらない。 なんて悲しい物語なんだろう。

それぞれが感じてる絶望が胸にせまってきて、息が詰まった。

ラストの終わり方も好きでした。
tipsy806

tipsy806の感想・評価

3.1
グザヴィエドラン監督同様、アルモドバル監督も母と子供の確執を描くのが多い気がして、監督にとって母親がいかに特別なのかということを考えた。
理想の親になるって難しいと思うし、娘が行方をくらますなんてなったら、途方にくれるわ。
話が進むにつれ二人の葛藤が明らかになるけど、いつまでも寂しさみたいなものがあった。衣装とか内装とか艶やかで毒々しい色彩。それが愛と哀しみと怒りが混濁した人生のよう。ラストの景色に希望を抱く。
死と罪悪感。結局自分も同じような体験をしないとわからないことがある。やっぱりペドロは女性を描く方がうまいなー。
Toko

Tokoの感想・評価

3.2
終始ジュリエッタ目線で進んでいくストーリー。

ジュリエッタが父親に腹を立てていたけど、自分もショアンと同じようなことして一緒になっていたり、ジュリエッタの行動や態度が自分に返ってきているような展開に。

アンティア目線で失踪中のストーリーなどが盛り込まれていたらもっと面白かったのになと、少し物足りない感じはするけど、若い頃のジュリエッタ役の女優さんがとても綺麗だったので総合的に良かった。
マヒロ

マヒロの感想・評価

3.5
恋人と暮らす中年女性のジュリエッタは、娘の旧友と街中で偶然再会し、十数年前に姿を消したきり絶縁状態になっていた娘のアンティアを見かけたと聞かされる。たまらず恋人との引越しまで取りやめてまでアンティアに向けた手紙を書き始めたジュリエッタは、今まで隠してきたことを話すとして過去の出来事を思い返していく……というお話。

『オール・アバウト・マイ・マザー』や『ボルベール』なんかの他のアルモドバル監督作品と同じく「母」の物語。
回想という体をとりながら夫であるショアンとの出会いと蜜月、ショアンの家の家政婦や彼の友人であるアバとの関係、そして娘のアンティアの誕生と人生における挫折などが描かれていく。
前述の二作における母は、自らの運命を受け入れて生き抜く強い母という感じのキャラクターだったけど、今作のジュリエッタは運命に翻弄されながら傷つき打ちのめされながら生きていくような人であり、悲劇的な側面が強いように感じた。鮮やかで情熱的な色使いの中にあるナイーブな感情が、今まで観た他の作品には無いような印象があったかも。

あくまで今作でこちらが見せられる話はジュリエッタの目線でしか描かれることはなく、娘のアンティアの葛藤みたいなものは見えてこない。物語上アンティアにも相当なドラマがあるはずなんだけど、そこは別視点として描かれることはなくて、こちらの想像に委ねられている感じ。恐らく描いたらそれだけ面白くなるように思えるんだけど、あえてそこを欠落させることでジュリエッタと同じ寄り添った目線を持つことが出来て良かった。

(2020.192)
マル

マルの感想・評価

3.5
はじめましてのアルモドバル作品
こんな母娘の繊細で手の届かない感情を映画で表現できるの凄
見放題終わってしまうと思ってせかせか観たからか、2人の流れる空気感とか思いを汲み取れきれなかった〜

他の作品はもっと毒っ気が強いそうなので、いろいろ観てみたい
お、重い…。でも終わり方が粋。

相手の気持ちが分かって初めて許せる。自分も経験があるだけに強いラストだったな。
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